MPEG-4 SLS

SLS (Scalable to Lossless) は、MPEG-4 AAC (Advanced Audio Coding) を、知覚透過的な再生から、スケーラブルなロスレス音質に拡張する音声圧縮技術です。SLS を使用すると、単一の圧縮された音声ファイルを、標準 AAC デコーダー上で、標準 AAC ファイルと比較して一切音質を損なわずに再生できます。または、SLS デコーダーで再生して、音源素材と同等の音質を得ることができます。

SLS は「HD-AAC」とも呼ばれ、特に放送環境や音楽制作環境に適しています。これらの環境では、ロスレス表現によって、複数の素材や編集ステップを信号ロスなしで管理でき、制作物は、オリジナルの非圧縮ソースファイルを忠実に再生するフォーマットでアーカイブされます。SLS は、AAC を強化する拡張レイヤーとして実装され、さまざまなデータ量を SLS 拡張に使用することで、(完全なロスレスへの) 上方拡張性を実現します。完全なロスレス再生時の SLS の平均圧縮率は約 50% (2:1) であり、AAC との後方互換性を持たない、純粋なロスレスオーディオ圧縮方式と同等の圧縮率を実現しています。

SLS 向けコンシューマーアプリケーションでは、家庭用の高品質オーディオ機器でのロスレス再生と、外出先でのポータブルデバイスを使用した再生を同時にサポートするミュージックライブラリを管理することができます。SLS は、陳腐化に対する保険にもなります。今後、オーディオコーディング技術を使用する必要が出てきた場合は、ロスレスフォーマットで保存された素材の再エンコード処理により最適な結果が保証されます。

SLS の第 2 バージョンは、規格で定義されています。SLS ノンコアと呼ばれるこの技術バージョンは、コアコーデックとして AAC を必要とせず、ベースレイヤーの再生用 AAC デコーダーとは互換性がありません。

SLS 仕様が組み込まれた MPEG-4 Audio 規格のコピーは、ISO オンラインストアから入手できます (「14496-3」を検索してください)。